笹山ダイレクト尾根inからの農鳥小屋泊~小太郎山~広河原out

笹山農鳥小太郎:7月
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以前、3000メートル級全山踏破の山行で、白根三山(北岳/間ノ岳/農鳥岳)は踏破済み。
現在、百高山を目指すにあたり、笹山、大籠岳、広河内岳の3座(白根南嶺)が未踏破な状態でした。
また、北岳に登る途中から分岐して、ぽつんと厄介な位置にある小太郎山も未踏破。

ルートを見ながらどの順番で行こうかと思っていた時、ふと思いつきました。
「そうだ、ダイレクト登山口から笹山に登って小太郎まで行けばいいんだ」

コースタイムを見てみると、全26時間の行程。
ちょっと長い気もしますが、行けなくはない時間。

で、また思いつく。
「そうだ、ついでに農鳥小屋に泊まろう」

農鳥小屋の親父といえば登山者の中でも有名な存在です。

いわく、小屋の前で登山者が降りてくるのを監視してる
いわく、15時までに辿りつかないと怒られる
いわく、食事がめっちゃ質素で生卵は何時のものかわからいものが出てくる

とても怖い存在として知られていて、嫌っている人もいるようです。

ただ、以前に農鳥小屋でテント泊の受け付した際は、
そんなに悪い印象はありませんでした。
昨年はコロナ禍により農鳥小屋も休業していましたが、
今年は営業するとのこと。
親父さんも高齢のためいつまで続けられるのかわからない状況。

これはチャンスだと思い、百高山踏破と農鳥小屋でのドキドキ体験の欲張りセットで
笹山~大籠岳~広河内岳~農鳥岳~間ノ岳~北岳~小太郎山を縦走してきました。

Day0:農鳥小屋に宿泊の電話

小屋泊なので、予約します。
これが難易度高い。なんせ噂の怖い親父に電話するのは緊張します。

2日前に何度も電話するもつながらず。
前日の朝起きたら折り返しの着信があり、かけなおしてみると
「もしもし農鳥小屋、深沢ですがお電話頂きましたか?」
と、丁寧な応答。

宿泊したい旨を伝えると、
「食事はつけます
「はい(はい)」

元々、噂の食事も体験したかったので良いのですが、
思わず、はいと言ってしまいました。
無事予約は終了。
あとは15時までに農鳥小屋にたどり着くだけです。

Day1:笹山ダイレクト尾根~農鳥小屋泊

前日20時に奈良田入りして車中泊。
バス停から遠い方の駐車場だったので、ガラガラでした。

ダイレクト登山口から農鳥小屋までは、コースタイムで14.5時間です。
山と高原地図によると、ダイレクト尾根は破線ルートになっていますが、
ネットの情報ではすごく整備されて歩きやすいルートの模様。
まぁかかっても13時間かなということで、2時出発として朝1時起床。
睡眠時間4時間で出発です。

ちなみにTJARの本に書いてありましたが、
疲労を回復するには3時間は寝ないとだめだそうです。

日の出が4時半くらいなので、2時間半くらい山道を歩きます。
万が一15時過ぎても農鳥小屋にたどり着けない場合を想定して
ビバークできる装備を担いでいるので、
普段のテント泊とほぼ変わらない14キロ背負ってます。
水場はないルートなので、水は3リットルもって行きました。

真っ暗な中渡るつり橋って怖い。
ライトで照らした先に誰かいたら、
速攻で車に戻ってガタガタ震えるレベルです。

ようやく日のが出てきました。
真っ暗な山の中を歩くのはお化けと熊、両方怖かったです。

ネットの情報通り、登山道の整備はばっちりです。
道幅もあり、ピンクテープもありちゃんと見てれば迷いようがありません。

ダイレクト尾根はひたすら登り。下って登るみたいなことは一切ありません。
登れば登るだけ標高が稼げるので、足に負担は来ますが登りがいがあります。

唯一わかる植物。ギンリョウソウ。
でもギンリョウソウモドキってのもあるそうなので、
やっぱり見分けはつきません。

2200メートル付近で木にポールをひっかけて、
テコの原理で負荷が加わり、繋ぎ目からぽっきり折れてしまいました。
この前の大峯奥駈道で折れたから作り変えたばかりなのに!

このポール、カーボンパイプから自作してて
前回の時とは違うカーボンパイプだったので、外れだったのかな。
夏休みにも使う予定なので、補強しないとだめかなぁ。

折れたポールをしまい、ひたすらワシワシ登っていく。
朝一だからか結構いい感じに登れています。

百高山の62座目、笹山南峰に到着。
6時間かかりましたが、コースタイムだと7.5時間なので1時間は巻けています。
予定通り13時間くらいではつきそうで、ほっと安堵。

お天気はガスガス気味。
雨じゃないだけ全然良いです。
明日は快晴予報だしね。

続いて北峰に到着。
こちらの方が視界が開けています。
この東海フォレストの看板見るとなんか懐かしくなります。

塩見岳方面を観察。
未踏破の百高山、蝙蝠岳が見えます。
噂の蝙蝠尾根を観察しますが、標高差あって結構辛そうだなぁ。

鳥倉林道から塩見岳から回るルートと、二軒小屋から登るルートがありますが、
鳥倉から塩見岳には行ったことがあるので、二軒小屋まで自転車こいで、
そこから登る計画を立てています。

停滞すると汗が冷えてめっちゃ寒い。
半袖Tシャツの上にレインウェアを着ました。

次の白河内岳を目指して下降中。
今までの登り一辺倒が何だったの?ってくらい下っていきます。
標高2500は超えていますが、ここは南アルプス。
この標高でも森の中です。

ようやく森を抜けたと思ったら、
岩場ゾーンの登場。

この光景、トムラウシのロックガーデンを思い出します。
あそこよりは全然緩い岩場です。

山頂が見えてきた。

白河内岳に到着。
森林限界を超えた楽しい稜線歩きで次を目指します。

大籠岳付近は道がわかりにくく、ルートが途中で途切れてて
登り返す羽目になりました。
視界があってこれだから、ガスに巻かれて視界なかったらガチ迷いそう。

百高山63座目、大籠岳に到着。
山頂標識の文字が消えかかっています。

次の目的地は広河内岳が遠くに見えます。
コースタイム100分らしいけど、ほんとにつくの??

意外と70分くらいでつきました。
そんなに登り返すことはなかったので思ったより楽でした。
この時点で11時過ぎ。スタートから9時間経過しています。
ここから更に3000メートル級の農鳥岳を攻略していきます。

大門沢下降点まで下っていきます。

初めて来たとき、大門沢下降点のこの鐘が
何のためにあるのかわかりませんでした。

吹雪等で視界が効かなくなったとき、
音でこの下降点を知らせるためにあるそうです。

遠くに農鳥岳が見える。
ここから気合入れなおして登っていきます。

出た!黄色いペンキで「ノウトリ」の文字。
ここから農鳥親父のテリトリーです。

農鳥岳の山頂が見えてきました。
黄色と赤ペンキのマーカがしっかり打たれています。

12時41分に農鳥岳に到着。
最初は早めだったペースも落ちてきてます。
でもあとは西農鳥岳だけだから、15時は間に合うでしょ。

農鳥岳~西農鳥岳もそこそこ距離があります。
もう朝から10時間以上歩いててかなりばててるので、
この見た目に心がやられます。

トラバース気味に進んでいく。
道はマーカーが打ってあるのでわかりやすいです。

13時20分に西農鳥岳に到着。
14時過ぎには農鳥小屋に到着できそう。

農鳥岳よりこちらの方が標高が高いです。

遠くに見えるのは熊ノ平小屋かな?
今年の夏にお世話になる予定なので、周りを観察しておきます。

さぁ、あとは下るだけだ。
農鳥小屋が見えてきました。

と思ったらここにきてガスが晴れる。
親父に見られてたらどうしようと、服装を整え背筋を伸ばして降りていく。
足に来てるので、2,3回けつまづきました。

14時に農鳥小屋に到着。
本日は12時間行動です。めっちゃキツカッタ。

ちなみに親父は小屋で作業してて、こっちのことは一切監視してませんでした。
受付のため、恐る恐る親父に声をかける
自分「予約していた〇〇ですが受付をお願いします」
親父「何ですか?
自分「予 約 し て い た 〇 〇 で す が 受付をお願いします 」
親父「何ですか?
耳が遠くて聞こえないらしく、
このやり取りを繰り返しながら
こっちに近づいてくる親父にビビりながら、
何とか受付してもらえました。

宿泊棟で受付します。
笹山から着たと伝えると、あそこはいいとこだと破顔。
ちょっと乱暴そうなイメージがありましたが、話してみると丁寧でした。
猟師※だからか年だからか、耳が遠くて意思疎通が難しい部分もありますが、
噂に聞くような横暴な方ではなく、言っていることも至極全うです。
元々なのか耳のせいなのか、怒鳴るようなトーンなので、
誤解を受けやすいのかなぁと思いました。

※昔の鉄砲撃ちは耳栓とかしてなかったそうで、
耳元でバカスカ撃ってたので難聴になっている人も多いです。

無事到着した記念にビール。350ml缶が600円でした。
エビスだしまぁ安い方かな?

普段は毎日晩酌しますが、
今日と明日を頑張るために2日間禁酒してました。
禁酒明けのビールは胃にしみます。

農鳥小屋から見る農鳥岳はやっぱでかい。
ウケケケの文字も目立ちます。

16時に晩御飯の時間となりました。
メニューはごはん、味噌汁、漬物、ひじき&シイタケ&高野豆腐&ふき?の煮物。

正直なところ、味が薄くて好みではないです。
ただ、昔の山小屋はこんな感じだったんだろうなぁという
ノスタルジィに浸れます。

このみそ汁は煮干しで出汁をとってあって、美味しかった。
好きなだけ飲んでいいって言われたので、3杯おかわりしてしまいました。
ごはんも3杯おかわりしてお腹いっぱい。
今日はよく動いたし、これくらい食べても大丈夫だよね!

この後、ちょっとした事件。
なんと17時過ぎに1PTが到着。
食事つきで予約してたみたいですが、もう食事時終わってるし・・・。

これはさすがに怒っても当然だと思ったけど、
親父は軽く怒るぐらいで、また夕食の準備をしてあげてました。
まして、最後には「遠い所からよくきてくれたねぇ」とかフォローの言葉まで。
悪いうわさも聞いてたけど、やっぱ言ってることまともじゃんと思いました。

夕方になり、ようやくガスが晴れてきて富士山がこんにちは。
今年は登りに行ってみようかなぁ。

甲府の夜景。
いつも松本方面に行くときに見ますが、いつ見ても綺麗。

激闘の一日が終わる。

と、思って20時くらいに寝ようとして、シュラフに入っていたところ、
ヘッドライトの明かりが目に突き刺さりました。
何だ?と思って起きると、部屋に親父が居て、
「(空の布団を指さして)ここの人どこ行ったか知りませんか?」
とのこと。どうやら全員寝たかチェックしていた様子。

あたりには見当たらず、これは一緒に探せってことだなと思い、
小屋の周りを探して夜景を見ていた同室の人を発見し、一見落着。
農鳥親父にヘルプを求められる貴重な体験でした。

Day2:農鳥小屋~北岳~小太郎~広河原

昨夜の事件で目がさえて、結局6時間くらいしか寝れないまま、
3:30起床。
親父が部屋にお湯持ってきてくれて、ストーブもつけてくれました。

朝食は4時半からです。
ごはんと味噌汁と生卵と海苔。

これが噂の生卵。
まだ小屋明け直後だったからか、きれいな色でした。
山で食べる卵かけご飯は美味しかった。

本日は快晴なり。
農鳥岳に別れを告げます。

5時に出発。
農鳥親父にも「行ってきます!」と挨拶。
「Good Luck」とのお言葉を頂き、元気に出発します。

農鳥小屋から見る間ノ岳の登りは、スケールに圧倒されますが、
いざ登ってみると意外とスイスイ登れちゃいました。
昨日、いっぱい食べたからかな。

農鳥小屋があんなに遠くになりました。

6:15間ノ岳に到着。
まだこの時間は人が少なくて静かな山頂を堪能できます。
って言っても、今日も11時間行動予定なので、先を急ぎます。

間ノ岳に登ったら、いったん下って北岳に向かいます。
その中間地点に、中白根山があります。
ここは百高山でも3000メートル級21峰にもカウントされておらず、
前回来たときは時間なくてスルーしていました。

4年越しにやってこれた。

北岳山荘と北岳。
写真でよく見る光景です。

北岳山荘に到着。
初めて来たとき、自販機があることにビビった思い出がよみがえりました。
電気も使えて快適そうな小屋です。
本日は風が強く、日差しは強いけど長袖で行動しています。

北岳への登り。
岩々していますが、割と登りやすい。

8:45北岳に到着。
ここもまだ人が少なく、10人いないくらいでした。
前回来たときは人があふれていた。

仙丈ケ岳さんもばっちり見えます。
やっぱ仙丈ケ岳ってでかいなぁ。

肩ノ小屋に向かって降りていく。
営業していましたが、特に買いたいものなかったので先を急ぎます。

肩の小屋を過ぎ、いよいよ最後のピーク、小太郎山への分岐道にやってきました。
ここから見ると遠いな。
9:36小太郎山に向かって出発。

・・・小太郎山への道。
思ってた以上にきっつい
ガレあり、藪漕ぎあり、偽ピーク有り。

偽ピークから見た、本当の山頂までのこの距離感ときたら気絶しそうになった。
おまけに連日の睡眠不足でめっちゃ眠くてフラフラ。

10:52 へっろへっろになりながら山頂に到着。
めっちゃキツカッタ。
遠くに見える仙丈ケ岳や甲斐駒ヶ岳を見ながら30分くらい魂抜けてました。

山頂で休憩したおかげで、帰りは多少楽になったけど、
それでもはるか遠くに小さく見える分岐標識に、心折れそうになりました。

何とか分岐まで到達。ここでも少し魂抜けてました。
あとは下るだけと思い、重い腰を上げて下山。

この時間で13時でしたが、まだ結構上がってくる人たちと遭遇。
第二便のバスで上がってきたのかな?

白根御池小屋に到着。
この池沿いのテン場、一回泊ってみたいな。
小屋自体もおしゃれな感じです。

山でしか飲まない甘い炭酸飲料。
糖分で血糖値を爆上げして、一気に下山する作戦です。

下山中、1700メートル地点で2PTとすれ違う。
この時点で15時なのに白根御池小屋(2200m)までたどり着けるんだろうか。

15:30 広河原山荘到着。
前のバスが14:30、次のバスが16:30なので、
いい感じの時間帯に降りてこれました。

新しい広河原山荘はバスターミナル付近に建設中でした。
次来ることあるのかな。

16:30に奈良田行きのバスに乗り込み、広河原を後にしました。
甲府行きや夜叉神行きも出てますが、奈良田行きは乗客が少ないそうです。
まぁ、普通は広河原→奈良田を通るよね。逆ルートはつらいし。

2日間で歩いた時間は24時間。
1日で歩いた最高時間は12時間半。過去最高クラスに歩きました。
久しぶりに行動食食べてるのに、お腹が鳴る経験をしました。
食べてるそばから消費している状態。

まとめ

百高山狙いで計画を立てましたが、面白そうな笹山ダイレクト尾根や農鳥小屋泊、
気合の小太郎山など思った以上に楽しい山行となりました。

笹山ダイレクト尾根は、本当にただ登れば登るだけ標高が稼げる漢道仕様で、
自分としてはかなり好きな道でした。
道の整備もばっちりして頂いていて、これが破線ルートなのはもったいないです。
是非歩いてみることをお勧めします。

農鳥小屋と農鳥親父では、”昔の山小屋”を体験することが出来て、
とても良い経験になりました。
噂の農鳥親父は言い方こそきつく聞こえることがあるものの、
言ってることは至極全うで、今では希少な方なので
これからも元気でに続けて欲しいなと思います。

小太郎山はつらかった。本当につらかった。
また行くかと言われたら全力で拒否します。
ってか”小太郎”って名前の可愛さがおかしいです。
地獄閻魔山とかに名前変えた方がいいなと思いました。

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